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米大統領選挙 大統領はオバマ、議会は共和党が勝利か
持田直武 国際ニュース分析

2012年9月9日 持田直武

11月6日の投票日まで2ヶ月、今の情勢が続けばオバマ大統領が僅かだが有利という見方が多い。同時に行われる議会選挙では、下院は共和党の勝利が確実。上院も共和党が僅差で勝つ可能性がある。オバマ大統領は再選されても、議会は共和党が主導権を握ることになり、難しい政権運営を強いられる。


・選挙人の予想獲得数はオバマ大統領がリード

 民主、共和両党の党大会が終わり、選挙戦は終盤に入った。代表的な世論調査所の調査結果では、オバマ、ロムニー両候補の支持率は数%の僅差で優劣をつけがたいのが多い。インターネット調査会社RCP(リアル・クリア・ポリティクス)が8月22日から9月6日にかけて行った調査では、オバマ大統領の全米平均の支持率は47.0%、これに対しロムニー候補は46.3%で差はわずか0.7%だった。そのほかの調査では、9月3日のCNN放送がオバマ、ロムニーとも48%で同率。9月7日のギャラップ世論調査所はオバマ大統領48%、ロムニー候補45%で差は3%だった。

 支持率は伯仲だが、選挙人の予想獲得数はオバマ大統領がリードしている。RCPの調査によれば、9月末時点でオバマ大統領はカリフォルニア州(選挙人55人)やニューヨーク州(選挙人29人)など9州と首都ワシントン(選挙人3人)で勝利が確実なほか、ペンシルベニア州(選挙人20人)など8州で優勢。その結果、オバマ大統領は選挙人221人を獲得する見通しだ。選挙人の総数は538人、当選には過半数の270人の確保が必要で、オバマ大統領は残すところ49人である。

 これに対し、ロムニー候補はアラバマ州(選挙人9人)など13州で勝利が確実なほか、テキサス州(選挙人38人)など10州で優勢。この結果、ロムニー候補は191人の選挙人を獲得する見通しだが、当選にはさらに79人が必要だ。去就が決まっていない州はフロリダ州(選挙人29人)など10州、選挙人は合計126人だ。この10州の奪い合いが選挙終盤戦の焦点、中でも選挙人の多いフロリダ州、オハイオ州(選挙人18人)、ノースカロライナ州(選挙人15人)などの去就が選挙結果を左右することになる。


・有権者の58%がオバマ大統領の当選を予測

 支持率や選挙人獲得数は拮抗しているが、これとは別の観点からオバマ大統領の当選を予測する調査結果もある。ギャラップ世論調査所が8月20日から22日にかけて実施した調査で「あなたが誰を支持するかに関係なく可能な限り客観的に考えて、誰が当選すると思うか」と質問した。その結果、オバマ大統領が当選すると答えた有権者が58%に上った。ロムニー候補が当選すると答えたのは36%だった。また、オバマ大統領支持者の86%は同大統領が当選すると確信して投票するが、ロムニー候補の支持者の場合、同候補が当選すると信じて投票するのは65%である。ロムニー候補に対する有権者の信頼感が希薄なことを示している。


・政治権力のねじれ状態が生まれる恐れ

 11月6日の大統領選挙投票日には議会の選挙も実施する。上院は総数100議席のうち任期が切れる33議席、下院は435全議席が改選となる。上院の勢力分布は与党民主党が53議席(民主党会派の無所属議員2議席を含む)、野党共和党が47議席。改選は民主党が23議席、共和党が10議席である。RCPによれば、民主党はこれまでに7議席が当選確実、9議席が優勢。この結果、非改選議席と合せて46議席を確保することが確実だ。一方、共和党は当選確実が5議席、優勢が4議席。この結果、共和党も非改選議席と合わせ46議席を確保することが確実となった。まだ、去就が決まらない議席はコネチカット州やインディアナ州など8州の8議席である。

 この8州の8議席の争奪戦も大統領選挙戦と並んで今回選挙の焦点である。民主党が大統領選挙で勝利し、さらに議会上院で過半数を確保するためには、この8議席のうち最低でも4議席を確保することが必要だ。4議席の確保で上院の民主党(民主党会派の無所属議員を含む)の議席は50議席。重要案件では副大統領が上院議長として1票を行使できるので過半数をかろうじて維持できる。しかし、RCPの調査では焦点の8議席のうち民主党候補が有利に選挙戦を展開しているのは3議席に止まり、他の5議席は共和党候補が僅かだが有利だ。この趨勢が投票日まで続けば、共和党が上院で過半数の51議席を獲得することになる。

 一方、議会下院は共和党が勝つことがすでに確実な情勢だ。下院は定数435議席。RCPの調査によれば、共和党はすでに178議席で当選確実のほか、51議席で優勢。この結果、双方を合わせて229議席を確保する見通しだという。下院の過半数は218議席で、共和党はこれを大幅に超えることがすでに確実になったのである。これに対し、民主党は145議席が当選確実のほか、38議席で優勢に選挙戦を進めている。その結果、合せて183議席を確保する見込みだが、共和党に対する劣勢は否めない。議会選挙で共和党が勢力を拡大する結果、選挙後の政治権力マップはホワイトハウスが民主党、議会上下両院が共和党の支配化に入るねじれ状態になり、オバマ政権2期目の政権運営を苦しいものにするに違いない。


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