ポルトガルへイワシを食べに

5.シントラ観光タウンでお城のホテルに泊まる


向こうの山の上にも、城壁から下を見てもお城がある

旅行先にポルトガルを選んだのは、お城のホテルに泊まりたいというのも理由のひとつだった。「ポルトガル夢ホテル紀行」を読んですっかり魅せられて、ミシュランでもちゃんと赤字で印刷されているお城のホテルパラシオ・デ・セテアイスに泊まることにした。
シントラはリスボンから普通電車で45分くらいの近郊にあるので、大きな荷物はリスボンのホテルに預けて1泊だけで出かけていくのに丁度いい。

山間の町シントラには、8世紀から19世紀まで色々な時代のお城が点在する。駅について山を見上げれば遠くにお城が見え、えっちらおっちら城壁を登って町を見下ろせばまた宮殿が見える。
だから町全体が観光タウン状態になっていて、町の広場には土産物屋と高いだけのカフェがずらーりと並んでいた。

お姫様気分に浸れるか!? お城のホテルパラシオ・デ・セテアイス
250年前までは本物のお城だったそうだ

すんごく期待していたお城のホテルも、行ってみれば「ま、こんなもんかな」って感じかな。外観はきれいにしてあるけれど、なんだかホテルの規模に比べて人手が足りないみたいで、部屋に入るのもレストランでサーブを受けるのもずいぶん待たされた。
お部屋も元々は250年前のお城だったのだから、そんなに広いわけではないし、窓が小さくて景色がすごくよく見えるわけでもない。それでも部屋においてある家具はキチンとアンティークしていて雰囲気がよく出ているし、電気もちゃんと付いたしお風呂場もけっこう広くてお湯もたっぷり出た。チェックアウトする直前の朝に突然水が止まっちゃって、トイレが流せなくて困ったんだけどね。


部屋はちょっと狭目だけど、古くて繊細そうな家具が雰囲気出してる

朝一時水が出なくなったりしたけど、一応配電や給湯の設備もちゃんとしている

お城ホテルに泊まる楽しみは何といっても食事だ。250年前のお城のホテルのダイニングってどんな感じなんだろう。何を着て行けばいいのかな…。あれこれ楽しく想像して、ダイニングルームにやって来た。ベースフロアにある広いダイニングは予想通りすごくステキだったけど、味はもう一歩だったかな。それに広いダイニングルームをおじさん一人で仕切っているのに無理があった。次々お客はやって来るのに(といっても5組くらいだったけど)、おじさん一人が各テーブルを回るので、色々質問したくてもすぐ次に行ってしまう。吟味して選んだつもりの料理も、割と普通の味付けだった。シェフのサプライズだともったいぶって持ってきてくれたアミューズのタラのすり身は、何だか生臭かった。

お城ホテルはミシュランに載ってたけど、レストランは載っていなかった。しまった

翌朝起きると、何だかホテルがざわざわしている。玄関前に大勢人がいて、撮影クルーを乗せたクレーンがぶんぶんと動き回っている。フロントのお兄さんに聞いたらナント、2004年のサッカーのヨーロッパ大会(ユーロ2004)の、広告の撮影なんだとか。本物のサッカー選手も午後になったらやってくるのだと自慢ぽく言う。といっても、私たちが名前を知っているような、フィーゴやルイコスタなんかは含まれていなかったんだけどね。
ポスターは窓に一組ずつ、トラディショナルなメイドの格好をした女の子とサッカー選手が立って、大きな垂れ幕をひらひらさせるというかなり変なもの。どんな出来上がりになるのか、ぜひ見てみたいものだ。


ユーロ2004の広告の撮影風景

インカムで大声で指示を出す人たちの中に、昨日のディナーの時に一人で優雅に食べていた女の人を発見。食事の時は女一人旅かな、待ち合わせの人が来ないのかな、なんて色々想像してたんだけどね。大仕事の前の優雅なお食事のひと時だったのねと思えば納得だ。

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