アメリカで食う見る遊ぶ
メトロポリタンに飾ってあるオペラの衣装

ドレスで幕間にシャンペンを

冬になって夜が長くなると、パーティーやコンサートに行く回数が増える。これがニューヨークに暮らす人の自然な姿らしい。 オペラが始まり、コンサートホールでは年末年始の特別プログラムが目白押し。デパートにはイブニングドレスがずらりと並んで、試着の列ができる。 イブニングドレスといっても、そんなにお値段は高くない。150ドルくらいでペラペラのがいくらでも買えるのだ。 私も勢いで一枚買ってしまったこともあって、これを来てどこかに出かけたくなった。

開演前のメトロポリタン劇場

オーケストラやオペラ、バレエのチケットは、年間購入をする地元の会員優先なので、なかなか券が手に入りにくいと言われている。でも、そういう券が直前になってキャンセルされて、劇場の窓口に出ることは多い。当日キャンセル券なら値引きもあるし、立ち見券で入って空いている席にちゃっかり座っちゃうという荒業もあるという。窓口に出向くと、いい席が(お得に)手に入ることはけっこうあるのだ。

券を買いに行ったオペラの窓口では「先はずっと売り切れだけど、明日ならすごくいい席が出たよ」と言われた。左の端の方だったけど、なんと舞台まで数歩のD列だ。 予算オーバーで悩む私に、ボックスオフィスのおじさんは、「すぐ無くなっちゃうよお」「フルビューだよおお」 とすすめる。
「じゃあ、買う!」とクレジットカードをバンと出したら
「たのしんでくださーい」と日本語で言ってくれた。
二階の正面の席の値段が一番高い

劇場の中に一歩入ると、そこはきらめく大人の世界だ。やってくるお客さんも正装(男性は蝶ネクタイのタキシードで、女性はドレス)の人が多い。決して高そうな生地だったり、ピカピカの新品ではないけれど、みんな精一杯のお洒落をして来ている感じがいい。ロビーいっぱいにそんな人たちがあふれて、カフェで軽食を食べたり、バーカウンターにもたれて一杯飲んだりしている。そこに混ざって、シャンペンを飲むのは楽しいものだ。素敵なドレスを来ている人や、お金持ちそうな人を、つい目で追っちゃったりして。

演奏をみんなが楽しそうに聞くのもいい感じだ。ニューヨーク・フィル・ハーモニーのコンサートの時なんて、隣のおじいさんが曲に合わせてハミングするのだ。ちょっと耳についたけど、誰も注意しなかった。もしかしたら、コンサートではハミングOKなのかもしれない。(嘘です)
こちらはシンフォニーホール

オペラなら2回、コンサートやミュージカルなら1回位、けっこう長い休憩がある。その時にはみんなまたゾロゾロとロビーに出て行って、もう一杯やりながらにぎやかにおしゃべり。メトロポリタンオペラの劇場内のレストランなら、幕間に合わせてコースの食事を出してくれるという。ぜひ一度くらい、オペラの幕間ごとに食事を楽しんでみたいものだ。

ところで、ペラペラのドレスを着て行くと、けっこう寒いことがあるのでご用心。 私は寒さ対策にこっそりホカロンを貼って行ったら、逆にぽかぽか効きすぎちゃって、途中で眠くなって困った。劇場ではやはり、ひらりとにショールなんて羽織るのがいいみたいだ。

written by 篠田なぎさ(⇒ プロフィール



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