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どこまでも続く、やしの木の並木道

サンタモニカに小旅行(4)
まぶしすぎる街ロス


初めて西海岸に来たと言うと、ロスの人はみんな
「どう〜? いい所でしょう!」と、とっても嬉しそうに言う。
「ビーチには行った? ゴルフ場もたくさんあるよー。車で少し行けばスキーも出来る。せっかく来たんだから、楽しまなくっちゃねー」と。からっと乾いてスコーンと晴れ上がった気候そのままに、みんなとってもフレンドリー。

ニューヨークがイヤで、ロスに移って来たという人もたくさんいる。
「ニューヨークは冬は氷漬けだし、人は自分のことで精一杯。せかせか(fast-paced)してるしね! ここはすごくいい。もう戻りたくないよ」。そう言われると、そうか〜。とうなずかざるを得ない。

ロスの人は、車を飛ばしているか、ジョギングしてるか、どっちか。

もちろん、「ロス・アンジェルスなんて、何しに行ったの? 面白かったかしら、あんな所」と言う人もNYにはいる。
「あそこは芸能ビジネスで成り立っている街じゃない。なんだか、too fancyなのよね。ロスに住んでいる友達を尋ねたら、ガタガタのプラスティックのテーブルと椅子が乱暴においてあるようなカフェに連れて行くのよ。食べ物だってまずいしー」
テレビは見ずに、部屋ではクラシック音楽をかけているというジェリーが言う。

「何でこの店がいいの? って聞いたら、この店にはセレブリティがたくさん来るからって言うのよ! 私、そんなコトにはちっとも興味ないのに」
あまりのご立腹振りに、私はゲラゲラ笑ってしまう。
「とにかく、ロスの人はね、fancyな事ばかり好きで、着ている物もfancy、too fancy!」
ファンシーと言われても、「ファンシー・ショップ」(キティ・ランド?)みたいなイメージしか思い浮かばない私に、ジェリーは
「fancyっていうのはね、値段は高いんだけど、ちっともエレガントじゃないって事よ」と教えてくれた。かなり偏見入っていると思うけど。
サンタモニカの海岸沿いのジョギングコース

車が運転できない私にとっては、ロスはやっぱり住みにくい所かな。市街地でも車は猛スピードで走っているので、歩道にいてもなんだか怖いのだ。交差点では、歩行者用の信号はすぐ赤になってしまう(ような気がする)。すると、車がいっせいに急発進。マンハッタンのように、歩行者が大威張りで信号無視をして歩くなんて、あり得ない感じだ。

ロスの人はみんな、すらっと背が高くて、ガタイがいい。あんまりデブがいない。猫背の人も少ない。ニューヨークの人種ごちゃまぜの、イッちゃってる人も多い、何でもありの世界とは違う。そして、みんな爽やかに日焼けして、ジョギングしてる。見かける日本人も、爽やか系。街がよく似合ってるなー、なんて私にはまぶしかった。
サンタモニカの海岸にいたワンコ。このダラケように親近感を持ってしまった。

そう。ロスに屈折は似合わない。ちょっとイジイジしているタイプには、隠れる所がない。運転はキライ、日に焼けるのがイヤだから、なるべく天気は悪い方がいい、ジョギングなんて、ホコリっぽくなるだけじゃない?なんて言うヤカラ(私のことね)には、まぶしすぎる街かもしれない。

written by 篠田なぎさ(⇒ プロフィール



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