アメリカで食う見る遊ぶ

ベッコでおなかいっぱい

46丁目の8番街と9番街の間の、こじゃれたレストランストリートの真ん中にイタリアンレストラン「ベッコ」はある。
私たちが到着した土曜日の夜8時過ぎは、半地下のフロアはすでに満席。案内された2階もすぐにいっぱいになった。
テーブルがぎっちりのベッコの店内
「Enjoy〜」
ちょっとおかまサンっぽい黒服の長髪長身のお兄さんが、笑顔で席に通してくれる。
この「エンジョイ〜」って決まり文句のようだけど、いい言葉だよね。言われるとこれからの食事がすごく楽しいものになるような気がしてくる。

慣れないイタリア語と英語のメニューを読むのは、とても時間がかかる。何度も説明に来てくれるけど、どうせ食材や調理法を英語で聞いてもよくわからないし。
それでも何とか、このレストランはメインディッシュを一皿頼めば、それに自動的にオリジナルシーザーズサラダと3種盛のパスタがついてくるシステムなのだということがわかった。
私たちは二人でひとつのメインディッシュを分けて食べて充分なことが多い。そんなにたくさん、食べきれるのかしら? 不安になりながらもお魚とお肉をそれぞれ選んでオーダーする。ついつい欲が出て、前菜にムール貝の蒸し煮も頼んでしまう。

最初に出てきたムール貝は山盛りで、その上どっさり玉ねぎやトマトのグリルが載っている。
「どこの貝?」と聞いたら、「ブルックリン」だって。
ブルックリンで貝が取れるのかどうかもわからないまま、口に放り込む。 貝はけっこうプリプリと新鮮で磯の香りがする。少し酸味が利いた味付けが珍しい。野菜のグリルもおいしくってよく合う。
次に出てきたオリジナルシーザーズサラダも山盛り。日本のようにマヨネーズは使わず、ビネガーであっさり仕上げてあるのでパクパク食べてしまう。
ザガットサーベイで手作りでおいしいと褒めてあったパスタは、「ブロッコリーのリガトーニ」「カニのラビオリ」「トマトのスパゲティ」の3種類。パスタを山盛りにした大きなお皿を持ったウエイターさんが各テーブルを回って、お代わりはどうだとすすめて回る。
あの誘いに乗ってお代わりなんかしちゃったら、絶対メインディッシュが食べられなくなっちゃうからダメだよ。と言っていたのに、ブロッコリーのリガトーニがおいしくって、つい頼んでしまう。カニのラビオリもおいしかったけど、ひとつがあまりに巨大なのでお代わりは断念。

それなのに、周りのテーブルのアメリカ人たちは、何回も何回もお代わりをしている。いくらタダだからって、そんなに食べなくてもいいのに…と横目で見ながら日本語で悪口を言う私たち。メカジキのカポナータ載せ(上)と季節の野菜とチキンのロースト(下)

後で隣のテーブルの人たちが教えてくれたんだけど、彼らはいつもメインディッシュは 頼まないんだそうだ。見ていたらデザートもパス。
「メインディッシュを頼むのが決まりだと思った」と私が言うと
「そんなこと全然ないのよ〜。だってそんなに食べられないでしょ?」と出てきたお魚とお肉を前に満腹でげっそりしている私たちを見て笑う。
「それは持って帰って明日食べなさいね」
ありがたいアドバイスを頂いたので、遠慮なく包んで貰って持って帰った。ちょっとだけつついたけど、グリルはカリカリに仕上がっているし付け合せの野菜の味が強くておいしかった。

結局ベッコであまりに満腹になってしまって、持ち帰った翌日も食べることができず、今まだメインディッシュは包んだまま冷凍庫に入りっぱなしになっている。

お持ち帰りの包みも巨大です。


written by 篠田なぎさ(⇒ プロフィール



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