アメリカで食う見る遊ぶ
マンハッタンの夜景

誕生日は一番高いレストランで

「誕生日なんだから」と子供の頃から呪文のように唱えている言葉を今年も呟いて、行ってきました「一番高いレストラン」に。一番高いといっても標高のつもりだったんだけどね。値段もなかなかのものでした。

だって、せっかくマンハッタンに住んでいるのに、私は夜景というものを見たことがない。住んでいるアパートは向かいのビルが見えるだけだし、日常生活なんて地上をてくてく歩くかバスに乗ればすんでしまう。わざわざ夜景を見る機会なんてそうそう無いのだ。

というわけで、ミッドタウンのロックフェラープラザの65階にある、レインボールームというレストランに行くことにした。エンパイアステートビルの展望台の方が、高さは高いけど、こっちはなかなかのお食事ができるというのだ。このレストランに関してはどのガイドブックにも載っているし、ザガットでもけっこう高い点が付いている。ザガットの講評は「ダンスフロアではフレッドとジンジャーのように、食事の時は大富豪のウォーバックス氏のように、そして支払いの後は孤児のアニーのような気分になれる」となっているんだけどね。ま、いいんじゃないの? 誕生日なんだし。

オフィスビルが建ち並ぶロックフェラーセンターの中のビルに入り、専用の高速エレベーターでぎゅいーんと上がる。ぱっとドアが開くとそこは豪華なロビーで、モデルみたいにきれいな受付のお姉さんが案内してくれる。レインボールームの内装はシックなアールデコ調で、くどすぎずカッコいい。フロアに出ると、まず景色のすごさに目を奪われる。ワンフロア全面ガラス張りで、ミッドタウンから南がずっと見渡せる。右手にハドソン川、左手にイースト川。二つの川の間はだんだん狭くなっていて、マンハッタンが半島の先っちょにあることがよくわかる。そして、目の前にエンパイアステートビルがある。三角に尖った屋根を帽子のようにかぶって堂々とそびえ建っている。そして、ついつい探してしまう、その後ろにあったはずのワールドトレードセンター…。

このレインボールームで食べたのは、
・セロリのクリームスープ
・エビとルッコラのサラダ
・牛肉のタルタル
・アンコウのポワレ
ワインはグラスでシャルドネとピノグリージョとメルローを頼んだ。
イタリアンキュイジーヌということだったけど、ニューヨークのレストランでパスタを頼むことは控えるようになってしまった。イタリア人が作る正当なイタリアンなんだろうけど、パスタはどうも麺が太くて大味でもったりしすぎているような気がする。 日本で日本人が作る繊細なパスタに慣れすぎてしまったからね。
ここのパスタはどうかな?と試してみたい気もしたけれど、冒険するには投資の額が大きすぎたのでやめた。

牛肉のタルタル あんこうのポワレ

頼んだお料理はどれも美味だった。セロリのスープは臭みがなくてこってりしすぎずでよかった。アメリカ流に量もたっぷり。二人で分けて飲めた。
サラダのエビは日本人でも大満足のプリプリ感だったし、牛肉のタルタルはコショウが効きすぎだけどステーキを食べるよりずっとしっくり来た。アンコウはちょっとパサパサしてたけど、素材の味がよく出ていた。アメリカのレストランにしてはひと皿の量が少なめなので、控えめの前菜+メインディッシュでも充分食べられる。お昼は軽めにしたほうがいいと思うけどね。

嬉しかったのはグラスワインで、「グラス」のはずなのに、小ぶりのデキャンタに入って出てくるのだ。
「これグラスワイン?」なんて思わず聞いちゃった。
グラス3杯分ぐらいたっぷりあってお得だった。(乾杯用にとすすめられたシャンパンカクテルに較べたらね。)それを3種類も頼んだんだから、酔っ払いました。
ダンスホールは金曜日と土曜日のみの不定期営業

私の誕生日は火曜日だったので、週末のみ限定営業のダンスフロアでフレッドとジンジャーになることはできなかった。
「もしよければ、ここで踊ってもいいよ」とヤンキーのウエイターさんにすすめられたけど、確かにジャズピアノの弾き語りがとってもいい感じだったけど、一応シャイな日本人なのでそれはやめておいた。その代わりにフロアの反対側にあるダンスフロアを見せてもらった。北向きの窓から目の前にセントラルパークが大きく広がり、その向こうにヤンキースタジアムが見える。ダウンタウン側を見ながらお食事するのはちょっと刺激が強すぎるという人には、こちら側がいいかもしれない。だからかどうかはわからないけど、レストランはものすごく空いていて、お客はみんなアメリカ人。観光客っぽい人は全然いなかった。
しのちゃん、1歳のお誕生日おめでとう、ってわけじゃないけど。

「ハッピーバースデイ」とケーキに小さなろうそくを立てて出してくれたのは嬉しかった。写真も取ってもらって、おのぼりさん気分満喫。日本から来てくれるはずの友だちを案内して、またここに来るのもいいなーなんて思ったりもしたんだけど、お勘定を見てやっぱりやめることにした。友だちはエンパイアステートビルの展望台の方に案内しようっと。

written by 篠田なぎさ(⇒ プロフィール



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