アメリカで食う見る遊ぶ
タイムズスクエアに出ている大きな看板

お得に楽しむブロードウエイ

「ニューヨークに行くの!? いいねえ…。ミュージカルやショーが見放題じゃないの」
いったい何人の人にこう言われたことか。そのたびに私はちょっとムッとしながら心の中で呟いたのであった。
「お金があればね」

一週間で一年分のお小遣いを使う旅行者ならいざ知らず、長期滞在の居候には「見放題」は辛いと思っていた。だから来週日本に帰るというYちゃんに「これ使えばいいよ」とプレイビルという冊子を貰った時には嬉しかった。その冊子にはブロードウエイもオフブロードウエイも、殆どのチケットが割引きになるコードが付いているのだ。

「日曜日のNYタイムズに折込みで入っていたのよ。気づかなかった?」
おっかしーな。私も同じ新聞を取っているはずなのに。日本語なら「優待」とか「お得」の言葉は見逃さないけれど、英語に慣れていないせいか。

安く見られるのなら、ぜひ行かなくっちゃ。というわけで、冊子とブロードウエイガイドを首っ引きで、見に行くミュージカルを探す。何せ記念すべき最初のブロードウエイミュージカルなのだ。うんとわかりやすいのから行ってみよう。
「シカゴ」や「キャバレー」や、オフブロードウエイの「ハーレムソング」にも興味はあったけれど、名作ミュージカルの「42nd ストリート」に行くことにした。ブロードウエイが舞台の、ショービジネスの物語だ。

チケットはオンラインで行く前の日に申し込んで、券を手に入れたのは開演2時間前だったのに、D列というむちゃくちゃいい席だった。ラッキーと喜ぶべきなんだろうけど、逆に景気は大丈夫かしら?と心配になってしまう。2001年のSeptember11の前までは、人気のミュージカルは半年待ちなどもあったとか。今ならたいていの劇場のチケットは当日でも手に入るようだ。

開演前に、一杯…。ついフラフラと。

「42nd ストリート」をやっているのは、タイムズスクエアからすぐの42ndストリートにあるフォードセンターで、1903年と1920年にできた2つの劇場を改装してくっつけたという大きな劇場だ。オペラハウスのような内装で、クラシックでとてもいい雰囲気。Tシャツ短パンの団体さんもいたけれどおしゃれに着飾った人もいて、開幕を待つ間にバーでシャンパンも飲めて、ワクワク感が盛り上がる。

いよいよ上映開始だ。オーケストラが音楽を始めて幕がちょっとだけ上がる。…と、すごい!幕の下にずらりと何十本ものタップを踏む足が見えてきて、ダッダッダッダダッダと一斉に動いているのだ。その迫力に圧倒されて、スイング中心の音楽にも引き込まれて、あっという間に2時間40分が過ぎていった。

オペラやバレエに較べて、ミュージカルは教養高くないイメージがあるなんて思っていたけれど、ブロードウエイのミュージカルはアメリカの伝統芸能だと充分言えるんじゃないかな。歌もダンスも容姿も、全部揃った人たちが何十人もいて、舞台に勢ぞろいしてるってのも驚きだった。そして公演は火曜日から日曜日まで毎日毎日、水曜日と土曜日は1日に2回もあるんだから、出演するには大変な体力が必要なんだろうな。私が心配してどうするって感じだけどね。

貰った割引き冊子は季節限定だったけど、お得情報はオンラインにも色々出ているみたいだ。サイト上の行った人のレビューも参考にしながら、インターネットや新聞の折込みをこまめにあたれば、けっこうあれこれお得に楽しめるだなあということがわかったのでした。劇場の上の大きなネオン




今までに見つけた割引きチケットサイト
プレイビル⇒ http://www.playbill.com/playbill/
ヒットショウクラブ⇒ http://hitshowclub.i-2000.com/

written by 篠田なぎさ(⇒ プロフィール



次へ
Top



All Rights Reserved, c 2002, Shinoda Nagisa