アメリカ三面記事便り
Fire!: The 100 Most Devastating Fires and the Heroes Who Fought Them

アメリカで、自分で自分を守るには

クラブのパニックや火事で大勢の人が死に、血液型違いの心臓と肺を移植されてしまった17歳の少女が、移植し直しの直後に亡くなるなど、アメリカでは悲惨なニュースが続いている。

拒絶反応を起こした少女は生命維持装置につながれ、2週間も適合するドナーが現れるのを待っていた。じわじわと弱っていく様子が連日ニュースで伝えられ、どうしてこんなことが起きたのか、見るたびにやりきれない気持ちになった。

クラブやダンスホールでの火災死亡事故も、一度に20人以上が亡くなった事故だけで、アメリカでは1940年以来9件を数え、合計1160人もの人が亡くなっている。(USA TODAY) 煙や火に加え、恐れるべきは人なのだという。5人が全力で押せば、その力は300キロ以上にもなる。100人単位で人が出口に殺到し、押し合えばどうなるか。それは「瓶にコルク栓を押し込むようなもの」と例えられている。人は5層にも6層にも積み重なり、身動きできないまま内臓破裂する。

アメリカの消防法は州によって違い、古い建物には基準がゆるい所もある。 「だから、自分で自分の身を守ることが大切なのだ」と、専門家は呼びかける。

・どこかに出かけたら、まず出口を全て確認すること
・人が集まりすぎていると思ったら、すぐにその場を立ち去ること
・熱狂的な雰囲気になったら、身に危険が迫っていると思うこと
・ドアが開かなかったり、非常口のサインが消えていたりしたら、警察や消防を呼ぶこと
・何かがおかしいと感じたら、非常ベルが鳴らなくても逃げること

「確かめて異常がなかったら、またその場に戻ればいいだけのことなんだから」と専門家は言うが、果たしてその場で、自分に出来るかどうか…。

2月20日に96人もが亡くなったクラブの火災では、異変に気づき避難を始めた観客が口々に
「シカゴのクラブ(3日前にパニックで21人が死亡)のようになるな」 「落ち着いて、落ち着いて」などと言い合っている様子が映されていた。 それなのに、多くの人はドアから出ることが出来なかった。

「人は、逃げようとする時に、自分が入ってきた扉に向かおうとするからだ」と専門家は分析する。入り口以外のドアを覚えておくことが、自分で自分を守る最良の手段なのだ。

written by 篠田なぎさ(⇒ プロフィール



次へ
Top



All Rights Reserved, c 2003, Shinoda Nagisa