ポルトガルへイワシを食べに
ポルトガルの野原の真ん中で野たれ死に!?

8.歩いて10分のはずの海辺の街へ

ホテルを出て地元の町に行ってみることにした。コンシェルジュのお姉さんに聞けば、歩いて10分くらいでレストランやブティックが沢山並んでいる繁華街があるという。親切に地図も書いてくれた。
ホテルからまっすぐ右に道を伸ばし、「すぐ高いビルが見えてくるから、その先よ。車が入れない細い道に面して、3つレストランが並んでいるの。特にお勧めなのはここ。じゃあ、行ってらっしゃい」


ホテルのお姉さんが書いてくれた芸術的な地図

そう言われて歩き出したものの、ホテルはひろーい野原の一軒家で、高いビルなんて無い。地図で教えられたとおりに右の方向に向かって歩くけれど、脇を車がびゅんびゅん通っていくだけで、他に歩いている人なんていない。道も聞けない。いったいどこに高層ビルがあって、レストランがあるんだろう?

「もしかしてあれのことじゃない?」
遠くにぼうっと見えてきたのは、到着した時にタクシーで脇を通った建築中のリゾートマンションだ。そのあたりはもともとはひなびた海辺の町といった風情で、気楽な格好をした避暑客を見かけたりもした。 しかしそのマンションを発見するまでにすでに30分近く歩いている。そりゃあ車を飛ばせばホテルから5分くらいで来られる所だけれど、いったい何を根拠に「歩いて10分」なんて言ったんだろう…。

「いつも車にしか乗らない人がさ、歩くなら車の倍くらいかかるかなって単純に計算したんじゃないの?」 ま、そんなもんでしょう。
車の免許を持ってない私達は、車文明とそれに毒された人たちを批判する事で何とか気を紛らわし、やっとリゾートマンションを抜けて海辺の町に入った。そこでコンシェルジュのお姉さんおすすめのレストランを探すのはもっと大変だったんだけどね。「細い道」なんて無限にあるし。途中で地元の人らしいお兄さんにレストランの名前と地図を見せて尋ねたら、レストランは教えてくれたけど、地図を見て「なんじゃ、こりゃあ〜」という感じで笑っていたよ。


ひなびた海辺と屋台の魚レストラン。煙もうもうの中みんな行列して待っていた。

町は海岸に沿って台所付きの長期滞在ホテルが並び、旅行社やみやげ物屋、スーパーマーケットがあって、ヨーロッパ各地から来たらしい人たちがいっぱい歩いている。この辺は南仏やイタリアの高級リゾートに比べたらぐっと値段が安いはずだから、雰囲気がとっても庶民的でなじみ易い。子供の頃よく行った海辺の民宿と海の家を思い出した。

(左)どんなお店にもショーケースがある (右)名物の魚介の蒸し煮カタプラーナ

煙もうもうで行列してる屋台の魚レストランに大いにそそられたけど、コンシェルジュのお姉さんのお勧めのレストランに行った。そのお店も入り口に大きなグリルがあって、店の中には魚のショーケースがあって、クラシックな感じでとっても雰囲気がいい。外にもテーブルが出ていて、人がたくさん居た。

海辺の町アルマカオデペラで唯一ミシュランに載っていたレストランサントラ

ホテルのレストランよりずっと庶民的で地元っぽくて、お客でワイワイ賑わっているお店をたくさん発見してしまったので、その海辺の町には次の日にもまた出かけていった。昼間に海辺にテラスが張り出したレストランに入って、砂浜で日向ぼっこをしている家族連れを見ながら地ワインをぐいぐい飲む。あ〜シアワセ。

こんなことなら野原の中の一軒屋ホテルになんて泊まらずに、この辺のキッチン付きホテルに泊まっていたらどんなに楽しかった事か。でも地球の歩き方にすら載っていないこの町の情報なんて取りようがないし、ましてどのホテルがいいのかなんて、来てみなくっちゃまったくわからない。じゃあ来年またここに来るかというと、そういう事はしたくなくて、やっぱり知らない所に出かけたい。
結局いつまでたっても定宿は持たずに旅行に出かけては「こっちの町のほうがよかった」とか「あっちのホテルがよかった」とかずっと言ってることになるんだろうなあ。


飲みっぷりのよさに感動されたらしく、ぜひこれも試してと出されたポルトワイン


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