ニューヨーク暮らしことはじめ

ハバ・ナイスデイにはユートゥーで

アメリカに来てまず、みんな何てフレンドリーなんだろうと驚いた。
人とすれ違う時にはにっこり。お店に入る時にはお客の方から「ハロー」。スーパーやデリではレジの人が「ハワユー」。そして、別れ際には必ず「ハバ・ナイスデイ (Have a nice day!)」

「よい一日を!」なんて言われて嬉しくなっても「サンキュー」と言ってはいけないんだそうだ。サンキューと返すのは、目上の人が鷹揚に頷きながら言っているようなニュアンスになるという。こういう時には「ハバ・ナイスデイ」と繰り返すか、「ユートゥー(you, too)」と言う。

サンキューって言いやすいので、つい口から出てくる。それを慌てて呑みこんで立ち止まり、えーっと何て言うんだっけ…なんて考えてから「ユ、ユートゥー」とやっと呟いた頃には、もうレジの人は次の客に「ハアユー」と笑いかけていたりするんだけどね。このもたもたしちゃうところが我ながら情けないっす。

ちなみに、ドアを持ってあげたりして「サンキュー」と言われたら、「ユアウエルカム(you are welcome)」と返事をするのも礼儀だ。相手はその言葉が返ってくるまで、ん?聞こえてないのかな?なんて顔しながら「サンキュー」「サアアンキュー」と何度も繰り返すことになってしまう。
「ユアウエルカム」もとっさにはなかなか出にくい言葉なので私は「ウエルカム」だけ言うようにしている。無愛想と思われるより、言葉づかいが悪いくらいのほうがまだましだもんね。

訴訟社会のアメリカでは、「ソーリー」という言葉をむやみに使ってはいけない。日本人は呼びかけに使う「すいません」代わりに「ソーリー」とつい言ってしまう癖があるから気をつけなくてはいけない。と思い込んでアメリカに来たけれど、実際はちょっと肩が触れたくらいでもよく「アイムソーリー」と言うんだよね。混んでいるスーパーで通してもらう時も「ソーリー」と声をかける。 カゴを通路の真ん中に置きっぱなしにしておしゃべりしているオジサンがいて、「あなたが道ふさいでいるから通れないのよ」って時は「エクスキューズミー」と言うけどね。

こういう時、通るのが自分ひとりなら「エクスキューズミー Excuse me」だけど、人が溜まっちゃって「私たち通りたいンだけど…」っていう状況の時は「エクスキューザス Excuse us」となるのだ。
このエクスキューザスの意味がわかった時には、なるほどねー!と嬉しかったんだけど、自分がとっさにこれを言えるようになるには時間がかかるんだろうなあ。

とにかく、買い物に行くと、お客と店の人がレジでもカウンターでもよくおしゃべりしてる。天気のことや今日の気分はどうだとか、さっきそこでこんなことがあったとか。彼らにとっては単なるおさぼりに暇つぶしなんだろうけど、私は感じたことや行動が、すぐにすらすらと英語になって出てくるなんていいなあと、羨ましく見てしまうよ。日本語なら負けないんだけどね。トホホホホ。

written by 篠田なぎさ(⇒ プロフィール



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