ニューヨーク暮らしことはじめ
クールなランプ。でも暗い…

「もっと灯かりを…」

天井から蛍光灯がぶら下がり、食卓に上にはペンダントライト。夜、どこで新聞を広げてもちゃんと読める明るい部屋…。そんな日本の家に馴れていると、アメリカの家の照明はとにかく暗く、暗〜く感じられる。
天井はあくまで白くのっぺりで、照明用の配線など無い。灯かりはせいぜいソファの横のテーブルに、小さなスタンドを立てるくらい。台所やバスルームの天井には灯かりがついているけれど、それ以外の部屋には自分でスタンドを買ってきて置かないと真暗だ。

チャイナタウンの近くに、照明の専門店が並んでいる界隈があると聞いて、わざわざ買いに出かけた。確かに、ゴージャスな照明器具がたくさんあるけれど、電球は小さく、間接照明のムーディーなものばかり。部屋中をカッと照らしてくれるライトは無い。こんなんじゃ、本も読めない…。

眩しいほど輝くハロゲンランプ 「ハロゲンランプっていうのを買えばいいのよ。天井を強い光で照らすから、反射光で明るくなるよ」
アメリカ暮らしの先輩Wちゃんが教えてくれた。ハロゲンランプは、バス停くらいもありそうな、大きなトーチ型のランプだ。ワット数は300もあるので、なるほど明るくなりそうだ。
「うちは、それを部屋に二つずつ置いているんだ」という 駐在員のT君の言葉には笑ってしまった。これを二つも部屋に置いたら、邪魔だろうなあ。そこまでしてもカッと明るくしたいってことなんだよね。気持ちはよくわかる。

「アメリカ人って暗い部屋が好きなんだよね」
インテリアが大好きで、色々な人の家に出かけては参考にするというWちゃんだ。自分の部屋も灯かりは極力少なくして、夜はキャンドルをともしてムードを演出しているという。
「馴れれば暗い方が落ち着くし、キャンドルですごくくつろいだ気分になれるよ」

確かに、誰もカーテンなど閉めない向いのアパートの部屋は、夜は一様にほの暗い。見えるのは付けっぱなしでちかちかしているテレビのブルーのライトと、窓際に置かれたシェードのかかった小さなランプだけだ。その灯かりの間を、時々人影がゆらりと動く。暗いから見えないと平気なのか、見えないように暗くしているのか。 全然気にしている様子はない。

「私も間接照明に挑戦してみよっかな」
リビングにはハロゲンランプをひとつと、日本から持ってきたお気に入りの小さなスタンドと、食卓近くの梁に天井を照らすライトを置くことにした。
「これなら充分明るいよ」
アメリカ生活が長いWちゃんは笑う けど、食卓で新聞を読むにはちょっと辛いかな。

お値段も手ごろな3連スポットライト

買った当初は300Wのハロゲンランプを全開にしていたけど、最近は光量を絞るようになった。夜、外からふと見上げたアパートの自分の部屋が、あまりに煌々と輝いているのにビックリしたのと、電気代の請求を見てビックリしたのが続いたからだ。電気代、日本に居た頃の倍近くだ。ハロゲンランプのせいか、よくあるという請求間違いなのか…。

というわけで、雑貨屋さんにずらりと並んでいるロウソクを、興味を持って見るようになった。ロウソクといっても誕生日の時にケーキに立てるようなのではなく、ビールの1リットル缶位ある太さのものが主流だ。色も様々で、香りもして、電気代も節約できる。冬は暖房も兼ねるかもしれない。
たくさん立てるとけっこう明るい
私も部屋中にロウソクを並べて、ゆらゆら影を動かすことにしようかな。新聞を燃やさないように、気をつけなくっちゃ。

written by 篠田なぎさ(⇒ プロフィール



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