ニューヨーク暮らしことはじめ
4種類のコイン、とっさに見分けられますか?

「小銭ジャラジャラ」卒業試験中

貯まる、溜まる。小銭がたまる。
スーパーやデリで買い物をするたびにお札を出すので、お財布がどんどん重くなっていく。アメリカのコインには数字の表記が無く、どれが何セントだかすごくわかりにくい。たまには小銭で払おうと、指でつまんで「これは何セント?」と聞いてみると返事は「クオーター」とか「ダイム」「ニクル」。「え…?」

そっかクオーターは四分の一、つまり25セントって事かとやっとわかるのは、買い物袋を下げた帰り道でのこと。レジで早口で言われて慌てちゃって、結局お札を出すことになってしまうのであった。

家に帰って、お財布にたまった小銭をテーブルの上に出して、小さく刻印された文字を読む。一番大きい銀貨が25セント(クオーター)、それよりちょっと小さいのが5セント(ニクル)。やたらちゃらちゃら集まるのが小さな1セント銅貨。そして1セントと変わらない大きさの10セント銀貨(ダイム)。何でコインの大きさが金額に比例していないのか。これも混乱の元だ。 頭に入れたつもりで、お財布に小銭を戻して覗いてみると、もうわからない。ごちゃごちゃにつまった小銭の大きさを見分けられるようになるまでには、けっこう時間がかかりそうだ。

では、地元の人はどうしてるんだろうと見ると、けっこうみんなジャラジャラ状態だ。お札をぽいぽいっと出して、ポケットから小銭をむずとつかみ出すと、一番大きいクオーターだけポトポトカウンターに置く。そして、行ってしまった。つまり、おつりが数セントだったりすると受け取らないわけだ。うーん。そうだったのか。

私は99セントと言われて1ドル札を出してぼーっとレジに立っていたことがあった。レジの人はそんな私に気づいて「あら、これほしいの?」という感じで1セントをくれた。あんな時はさっと立ち去るべきだったのか…。 急に恥ずかしくなったけど、でもやっぱり、1セントでも惜しい気がする。

今ではけっこう慣れてきて、例えば3ドル75セントの買い物には5ドル札とクオーター3枚。なんて出せるようになった。 「7ドル46セント」と言われて12ドルと51セントを渡し、怪訝な顔をされたこともある。「これ一枚でいいのよ」なんて10ドル札を指差して教えてくれたりする。こういう出し方は日本では当たり前だったけど、けっこうこっちではびっくりされてしまうのだ。それでもレジに打ち込んでみてよと言うと、指一本で入力し、チーン「5ドル5セント」と表示が出た時には、レジのお姉さんびっくり。首を振って笑いながらお札と小銭をくれた。

まだ時々クオーターと5セントを間違えるけど、慌てず騒がず「これで38セントだよね?」と聞く余裕も出てきた。こんな時はレジであせっていた自分を懐かしく思い出す。でも実はまだ、ポンド表示の重さや、インチ表示の長さ、華氏表示の温度には慣れていないのだ。特に体重は「ポンド表示だからよくわからなーい」って事にして、真実を知ろうとしないというのが本音なんだけどね。エヘヘ。

written by 篠田なぎさ(⇒ プロフィール



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