アメリカ三面記事便り |
遠い戦場の遠い現実 反戦デモも頻繁に行われるようになった。手書きのプラカードを持ち、スローガンを叫びながら歩いている人たちを見ていると、不謹慎ながら何だか楽しい気分になってくる。 「No more war!」 「ノー!」 「We want peace!」 「イエース!」 ドラムを叩きながら、踊りながら歩いているので、サンバの行進のようなのだ。 「セプテンバー11の時、アメリカは世界中から同情されたのに、今や世界中の嫌われ者だね」 中国系の友人の皮肉に、アメリカ人は屈託なく答える。 「フランス人とどっちが嫌われ者かなあ」 会うのを楽しみにしていたのに、日本の友人は、アメリカへの旅行をキャンセルした。アメリカについてコラムを書く、ささやかなアルバイトも無くなってしまった。嘆く私に 「セプテンバー11の後も、日本人がぱたりと来なくなった。日本人はちょっと臆病すぎじゃない?」と笑う。 そう言うアメリカ人は、「怖い肺炎が流行っているから」と香港出張を取りやめたそうだ。 戦争当事国アメリカにいるのに、戦場はなんと遠く感じられることか。日本から私の安全を気遣うメールを貰うたびに、考えてしまう。 |